パチンコ・パチスロと一緒で右肩下がりが止まらないオートレースですが、面白い企画を出してきました。

参加費35000円で1/4096を引き当てると1億円が払い戻される「当たるんです」という車券です。

スポーツ報知様より引用

必ず1人に1億円が当たる夢のくじ「当たるんです」が発売されることが19日、スポーツ報知の取材で分かった。対象はオートレースで、後半4レースの1着を当てる「4重勝単式」。

当選金額は1億円だ。宝くじなどと同じく、コンピューターがランダムに選ぶクイックピック方式を採用するため、オートレースを知らない人や興味のない人でも楽しめる。当選確率は4096分1。このほか、1000万円、140万円が当たるくじも合わせて実施される。発売予定は11月中旬の予定。

年末ジャンボ宝くじの1等7億円には及ばないが、当選確率は4096分1で1億円は、明らかに魅力的だ。公営競技では最大12億円が当たる競輪の「チャリロト」や「ドカント!」があるが、当選者が出なかった場合はキャリーオーバーになる。その反面、当選者が出たら「0」からのスタートになるため、なかなか金額が大きくならないマイナス面もある。

しかし「当たるんです」はキャリーオーバーなし。必ず1人が1億円を手にできる仕組みになっている。からくりはこうだ。オートレースは1レース8車立てで行われる。後半4レースの1着を当てる「4重勝単式」。組み合わせは8の4乗で4096通り。これをコンピューターがすべてに振り分けることにより、必ず当選者が出る。ウェブサイトに登録し、ネット投票だけになる。

ただし、1億円を手にするためには条件がある。宝くじは1口300円。競輪くじは200円だが、「当たるんです」は3万5000円。4096口集まれば成立し、1億円を手にできる可能性が出る。8192口なら1日に2人、億万長者が誕生する。他に1口3500円で1000万円、500円で140万円のパターンもある。

1口3万5000円は高額ともいえるが、宝くじを買う人はそれこそ数万円単位で買っている。1等の金額は違えど、宝くじの確率1000万分の1に比べれば、「当たるんです」はかなり高い当選確率になっている。

11月中旬の発売を予定しているが、どこの自治体(オートレース場)が主体になるかは現在、最終的な調整中。山陽オートを主催する山陽小野田市・公営競技事務所は、スポーツ報知の取材に対し「(そういう話は)まだ正式には決定していない」と否定はしなかった。同市からオートレース場の運営を包括委託されている「日本写真判定」は取材に「そのことについてはお話しできません」と回答したが、複数の関係団体幹部は「話は進んでいる」と答えた。

オートレース場は全国に伊勢崎、川口、浜松、山陽、飯塚の5場。2006年度は1099億円あった売り上げは、15年度には678億円まで落ち込んだ。今年3月には船橋オートレース場が廃止された。「当たるんです」の発売を機に、オートレースの認知度、売り上げアップの狙いがあるとみられている。ある関係者は「くじはオートレースになるが、予想をするわけではなく、誰もが簡単に1億円を手にするチャンスが出てくる。普通の宝くじ感覚で買ってもらいたい」と話した。

ウェブサイトは1週間以内に開設される見通しで、「当たるんです」を検索すると1億円への扉が開かれる。

◆税金 宝くじやサッカーくじは当選しても無税だが、公営競技が対象となる「当たるんです」は、当選すると一時所得と見なされ税金がかかる。これに地方税もプラスされる。おおよその目安は当選金額の20~25%。

◆オートレースとは 基本的に8車で争われるオートバイのレース。走路は1周500メートル、幅30メートルで左回り。走路は内側に少し傾斜し、左側のハンドルが高くなっている。現在レース場は全国に5場(川口、伊勢崎、浜松、山陽、飯塚)。元SMAPの森且行が、トップライダーとして活躍している。

 

1億円というのは「仕事を辞める」もしくは「いつ仕事をヤメてもOK」と言えるギリギリの金額ですので、この金額設定はいいと思います。

参加費が3万5000円で当選率が1/4096というのは少しバランスが悪いような気もしますが、こればかりはやってみないと解りません。

パチスロユーザー向けに参加費が17500円で当選率を1/8192にして「ゴッド」という名前で売った方が良かったかも・・・。



ただ、個人的には参加費を更に上げて、当選率を上げた方が話題になって面白いと思います。

 

宝くじ市場の飽和

こういったギャンブルが登場する背景には宝くじ市場の飽和があります。

キャリーオーバー式のギャンブルにしても
LOTO6・LOTO7(総務省)、TOTOBIG(文部科学省)、チャリロト(経済産業省)、WIN5(農林水産省)とあり、オートレースも「モトロト」という重勝式車券は既に存在しています。

これらのギャンブルはキャリーオーバーが貯まれば貯まるほど期待値が高くなり、沢山売れる仕組みです。

近年は売上が落ちて配当が落ち、更なる売上の低下を招いています。

そこで、今回のような売上額に左右されない、シンプルな賭博というのを考えついたのでしょう。

もちろん、オートレースの法律の中でやっているので、警察は口出し出来ません。

不正の可能性

『当たるんですは3万5000円。4096口集まれば成立し、1億円を手にできる可能性が出る。』

とあります。

コレ、レース前までに4096口売れずに成立しない場合はどうなるのでしょう。

そう、「当たるんです」は日本の公営競技の根幹であるパリミュチュエル方式では無いのです。

BET不成立だと全額返金となります。

BET成立だと30%のテラ銭が発生するため、
主催者側としては当然
成立を目指す事になるでしょう。

言い換えれば4096口の70%である2867口以上売れていれば、主催者側は「誰かが買ったことにして」BETを成立させた方が得なわけです。

宝くじも似たような処理をしています。

売れ残った宝くじは胴元側が販売委託店から買い取り、破棄処分した後に抽選します。

そういった作業があるので、ジャンボ宝くじは販売終了後しばらく経ってから抽選するわけです。

一方でパリミチュエル方式のロト6は、締め切り後その日の内に抽選します。

ここで問題となるのが 、自家買い後の不正の可能性です。

宝くじは抽選の様子が完全公開されているため、不正はほぼ無理ですが、オートレースが自家買いをやった場合「コンピューターのランダムピックが、実力が低い選手を選びやすくなる」というプログラム不正の可能性があります。

そうすれば「八百長レースを組む」というリスクを取る事なく、簡単に収益が上がるわけです。

 

オートレース業界はパチスロ業界と一緒で、沈みゆく泥舟状態となっています。

主催者側の人間が「閉鎖される前に1円でも多く私腹を肥やそう」と考えている可能性は十分です。

パチスロメーカーやホールだってそうですよね(・∀・)。

ゆえに主催者側の不正まで含めて
よく議論してから導入すべきでしょう。

税金の問題

上記の記事にもあるように、当たったら納税しないといけません。

販売はインターネット投票だけなので、隠しようがなく、税務署がやって来ます。

 

ここで一つ確認しておかなくてはならないのが、

1億が当たっても
過去に買った金額は
経費として認められない点です。

これは外れ馬券訴訟における
各裁判官の判例を見れば概ね解ります。

「的中とは関係ない外れ馬券を経費としてあげる」には馬券の購入活動を投資として認められるかどうかがポイントです。

投資活動とはいったい何なのでしょう。

 

例えば
・今国会でカジノ法案が通りそうなので、恩恵があるかもしれないサミーの株を買う

というのは、根拠がない妄想でも投資として認められます。

一方で
・サミーの里見会長の持ち馬のG1勝率は0%なので、明後日の菊花賞はサトノダイヤモンド以外の馬が1着になるような馬券を買う

というのはデータに基づいた購入ですが、これが投資活動にあたるかどうかは裁判官によって少し解釈が異なっています。

今回取り上げた「当たるんです」はコンピューターが選んだ数字を買うだけです。

これは投資として認められない可能性が高いと思います。

 

つまり、元々テラ銭を30%取られて、当たっても25%くらい税金で取られるので、期待値的には宝くじと変わりません。

乱暴な比較をすると、パチスロなら保通協の試験の下限に引っかかってしまう出率です。

そんなレベルですから、ネタとして買うのはいいですが、本格的に手を出すのはオススメしません。